「低血圧なのっ」
「あ、そう」
おばさんの言葉に興味なさそうにそう言うと、瑠衣斗は迷わず私の隣へと腰を降ろす。
「寝れなかったのか?」
それと同時に、瑠衣斗が私に目を向けながらそう質問を投げかけてきた。
何となく気を張っていた私は、突然向けられた視線にピクリと反応する。
「…何だよ」
「え?何も?よく寝れたよ」
ドギマギする私の反応に不服そうな視線を向けると、ふとおばさんへと視線を変える。
「…おい、おふくろ。何か余計な事言ってねーだろうな」
「え〜?余計な事って?例えば?」
おちゃらけて言うおばさんに、瑠衣斗がバツの悪そうな顔をして舌打ちする。
そんな様子が可笑しくて、私はクスっと笑いが漏れてしまう。
「何笑ってんだよ」
こうして見ると、やっぱり親子だなあと感じる。
お母さんに太刀打ちできないって言うか……。
すると、部屋の奥からおじさんが現れた。
まだ半分以上目は開いていなくて、大きな欠伸をしている。
更には、頭は物凄い寝癖で爆発していた。
「おはよう〜…あっ、ももちゃん」
「おはようございます」
私に気付いたおじさんは、一瞬にしてパチリと目を見開く。
そんな様子が可愛らしくて、私は再びクスクスと笑いが漏れた。
「え?何か変?」
「…ったく…この親父は……」
ボソッと呟く瑠衣斗は、テーブルに片肘を付いて頭を抱えたのだった。