「きっと、ももちゃんの事大切なのね〜。あっ、宗ちゃんも龍ちゃんもね」


「そ…なんですかね…」


大切…なのかな?


確かにるぅは優しい。

でも、いつも変な意地悪……ばっかりするし…。


顔が熱くなるようで、思わず目を泳がせた。


「そうよお。だってあの子ったら、いっつもすぐ帰っちゃうんだから」


「あっ、知ってます」


そんな私の言葉に、おばさんはふわりと笑顔を向けてくれる。


「だから…ある意味、こうして長く居るのも、何年ぶりなの」

確かにそうだろう。

私達まで、あんなに不思議に思っていたほどだ。


そのまま言葉を続けるおばさんに、私は耳を傾ける。


「きっとあの子…まだ引っかかってるのね」


…え……?


微笑むおばさんの表情が、切ないような、悲しいような表情に変わる。


「引っかかってる…?」


るぅ…何かあるの…かな?



ポツリと言った私の言葉に、おばさんは再びふわりと笑う。


「ごめんなさいね。おばさんの口から言う事じゃないかも」


「あの…」


「ただいま〜」


私が口を開けかけた時、玄関から響くようにしてキッチンまで声が届く。


げんなりとしたような声の主が、瑠衣斗だと言う事にすぐ気付いた私は、おばさんを見上げた。


「帰ってきたわよ♪」


ニッコリと私に向かって笑うおばさんに、先ほどまでの表情はもうなかった。


何となく、もう触れてはいけないと思い、私もおばさんに対して微笑むしかできなかった。




「ベッタベタ…ってもも?」