背後からは、寝息を立てる龍雅と宗太の気配が伝わる。
開け放たれた大きな窓からは、ひんやりとした風が優しくカーテンを揺らす。
つけられたままのテレビからは、絶える事なく音声が流れ、いつもの宗太の家に居るようだ。
「起きそうにねえな」
にこやかに言う瑠衣斗は、適当に飲み物を一本手に取ると、冷蔵庫を閉める。
そのまま立ち上がると、宗太と龍雅を振り返り、少し困ったように眉をハの字にし、顔を歪ませた。
「こいつら、布団全部使っちまったかも」
「え。全部?」
大の字になって眠る2人は、よく見ると二組づつ布団を使っている。
と言うか、寝相が悪い2人によって、二組跨ぐようにして眠っている。
確認するように、襖へと近付く瑠衣斗に続き、私もあとを追う。
ガラリと瑠衣斗が開けた襖には、一組だけ布団が残っていた。
「あった。……一組だけど」
「そ…だね」
「とりあえず、座るか」
端へと寄せられていたテーブルに、2人揃って腰を下ろした。
コトンとテーブルに缶ジュースを置くと、瑠衣斗は片手で簡単にプルトップを開ける。
プシュッと小気味良い音を立てた缶を片手に、いつまでも固まっている私に向かって、不思議そうに瑠衣斗が視線を向けた。
「…なに?」
「えっ?別に?」
ドキリとした胸を押さえるように、慌てて私もプルトップを引いた。