別々で着替え終わると、再び並んで家へと向かった。


山の気候のおかげか、涼しい夜風がほてった肌に心地良い。


玄関を開けると、伏せをしていたももちゃんが起き上がって迎えてくれた。


「おっ、待ってたのか」



そんなももちゃんに近付く瑠衣斗は、優しく頭を撫でている。


やっぱり何だか少し幼く見える姿に、胸が切なく疼く。


緩めの生地の黒いTシャツに、首にはタオル。ダボッとしたジャージを履いた姿に、目が奪われる。


ほとんど乾いていない長めの髪を見ると、先ほどまでの出来事が鮮明に蘇ってくるようだ。


「どうした?来いよ」


「あ、うん」


慌てて考えを打ち消し、いそいそと玄関を上がった。


そんな様子を確認すると、瑠衣斗が歩き出し、慌てて私も後を追ったのだった。


きちんと私達の後から付いて来るももちゃんは、本当に瑠衣斗が好きなのだろう。


そんな微笑ましい姿に、自然と頬が緩む。


「何か飲むだろ?何がいい?」


「うーん…るぅと一緒でいい」


「ふぅーん?」


何故かイヤらしく含み笑いする瑠衣斗に、私の頭には疑問符が浮かぶ。


そのまま冷蔵庫を開けた瑠衣斗は、適当に数本の缶を手にすると、私に押し付けた。


素直に受け取った私は、その冷たさに一瞬ピクリとする。


「ももはそんなけ運んで」


「うん」


何となく返事を返すと、瑠衣斗は再び冷蔵庫から腕一杯の飲み物を抱えた。



「そんなに飲むの?」


「んな訳ねーだろ。はいはい、歩け歩け」


「う、うん…」


瑠衣斗に急かされるまま前にみ、訳の分からないまま部屋へと向かったのだった。