言われた言葉を、ゆっくりと頭の中で反復する。


不器用な瑠衣斗なりの、優しさなのだろうか。


いつの間にか、押さえつけるようにして瑠衣斗の手の上に重ねていた手を、真上に伸ばしてみた。


広げた指の間から、覗く星屑に胸が切なくなる。


掴めそうで、掴めない小さな瞬きに、私はどうしようもない程息苦しくなる。


伸ばした手に重ねるように、瑠衣斗の大きな手が、私の手を包み込んだ。


「足も短けりゃ腕も短いのな」


「お母さんに似たの」


「……可愛いからいいじゃん」



力強い瑠衣斗の腕が、引き寄せるようにして腕を戻す。


それと同時に、体制を直した瑠衣斗は、胡座をかくようにしてその上に私を乗せた。


キュッと、胸が音を立てた気がした。


ドキンドキンと、強く響く鼓動に、目眩がするようだ。



掴んでいた片方の手を、ゆっくりと離した瑠衣斗は、そのまま私の首筋を撫でる。


顎に手を掛けられ、瑠衣斗の方へ顔を向けさせられると、目を細めるようにして私を見つめる視線とぶつかる。


唇が触れそうで、触れない距離のまま、瑠衣斗の掠れた声を間近で聞いた。


「これ以上…近付いたら…友達止める?」


そんな言葉に、自ら唇を重ねてしまいたくなる。


でも……。


「止めるよ…?」



グッと堪えながら、やっとの事で口にした言葉すら、説得力もない。


気持ちが溢れ出しそうになりながらも、流れで伝えたくはない。


ギリギリのボーダーラインを越えてしまえば、私達はきっと、元には戻れないから。


「…減るモンじゃねーのに」


「友達はそんな事しません」