「よし、入るぞ」
「…は!?」
えっ?えっ?まさか…一緒に入るって事!?
そんな私の考えを余所に、瑠衣斗は目を大きく見開くと、途端に目を細めて笑いだした。
「すっげー顔」
顔なんてこの際どーでもいいのよ!!!!
顔が熱くて、きっと真っ赤になっているに違いない。
でも今は、それどころではない。
酸素の足りない金魚のように、口をパクパクと動かすだけの私は、言葉が喉に張り付いたように出てこない。
「……何だよ…」
「いっ…いっ…」
訝しげに眉を寄せた瑠衣斗に、余計に言葉が出ない。
物凄い胸の鼓動に、酸素が薄いようだ。
そんな中、ハッと何かに気付いたような表情をした瑠衣斗が、意味深にニヤリと笑ってみせる。
「一緒に入るか?」
「ぬっ…なっ…」
危険だ。物凄く危険な香りがする。
私の中で、危険を知らせる警報装置がフルに稼働している。
「はっ、入らないわよっ!!」
思いっ切り力んでそう言うと、眉をハの字にして瑠衣斗が笑いだした。
「だはっ、んな笑わせんなよー」
「笑わせるつもりで言ってないし、今ので笑える瑠衣斗のツボが分かんない!!」
笑い出してしまった瑠衣斗に、何も言う気が起きない私は、瑠衣斗から視線をそらした。
何か、ムカつく。
そんな私の目に、改めて自分の周りの景色が入ってきた。