この出来事によって、一気に酔いも眠気も覚めてしまった。
まだドキドキする自分の胸に、誤魔化すように辺りを見渡した。
その時、宗太が閉めたカーテンの音に、再びドキッと胸が飛び跳ねる。
「………」
「何固まってんだよ」
驚きすぎて身動きができなくなった私に、瑠衣斗が笑いを含む声で私に話し掛ける。
……どうしよう。
私…………
「お…お風呂1人で入れないよお……」
「小学生か」
「俺1人でトイレ行けない……」
「俺んちは幽霊屋敷か何かか」
ひとまず荷物をまとめて置き、部屋の真ん中にあったテーブルを囲んだ。
畳の濃い香りはまだ新しく、井草の落ち着く良い香りがする。
部屋の作りに、立派な綺麗な旅館だったことを感じさせる。
「俺らは良しとして……ももだな」
宗太の、のんびりとした声も、今の私には恐怖を拭いきれない。
「一緒に入るか?」
「無理っ」
宗太の冗談らしくない冗談にも、怖いと言う感情が勝ってしまうのだった。
そんな中、瑠衣斗が静かに口を開けた。