「どこがいい?」


「どんな質問だよソレ!!!!」


「トイレは二階にもあるけど」


「んな事聞いてねーよ!!!!」


可笑しなやりとりを初めてしまった瑠衣斗と龍雅は置いといて、宗太と部屋の前に立つ。


重そうな襖のような扉を開けると、中が真っ暗で何も見えない。


「ちょ、ちょっとだけ怖いね…」


初めて入る部屋に、何だか少し怖く感じてしまう。


それはきっと、この闇のせいだろう。


そんな私の言葉に、宗太がふわりと優しく笑う。


「あーあ。もう1人じゃ寝れねーなあ〜」



悪戯っぽく笑う宗太が、一瞬小悪魔に見えた。


「もお〜!!宗太のバカやめてよぉ〜!!」


背筋がヒヤリとして、ゾクッと寒気が走る。


笑い続ける宗太は、そのまま部屋に少し足を踏み入れると、どこにあったのか照明のスイッチを押した。


「っやぁぁ!!」



暗闇が、一瞬にして明るくなった瞬間、私は小さな悲鳴を上げた。


部屋の入り口から対面した正面の窓に、人の影を見たのだった。


「もも?どうした?」



そんな私の悲鳴に、瑠衣斗が私の肩に手をかけ、すぐ近くで声を掛ける。


「え…?なに?」


呆気に取られたような宗太の声がして、恐る恐る顔を上げた。



「…………あっ」