何から口にしようか迷ってしまう程、たくさんの料理が並べられている。
そんな私に気付いたのか、もう何かを口に頬張る瑠衣斗が目を向ける。
「取ってやろーか」
「え?」
返事をする間もなく、瑠衣斗が私から取り皿を奪うと、ぽいぽいとたくさんの料理をお皿に善そう。
「ん」
「あ、ありがとう…」
……ハムスターみたいだなあ。
割合的に量の多いおかずに、少しだけ気後れするようだが、せっかくの美味しそうな料理達に箸を伸ばした。
「もいしい!!」
口にした物は、先ほどおばさんがよそっていた鮎の煮物だ。
「もいしいって何だソレ」
笑って言う瑠衣斗も、何だか解放されたようにふわりと笑う。
「おばさん、この鮎本当に美味しいです」
「本当〜?それは良かった。たくさん食べてね」
「はい」
笑顔でそう返すと、再び料理を口に運んだ。
こんなに美味しい料理を食べて育てば、瑠衣斗も慶兄も料理が上手い理由が分かる。
他にも、新鮮な夏野菜のサラダや、初めて呑む麦味噌のお味噌汁に感動しながら、明るい食卓を続けた。
「ももちゃんみたいな子と飲めて、おじさん幸せだなあ」
「親父、あんま飲ませすぎんなよ」
そして、おじさんから進められた地元のお米で作った日本酒をお酌されながら、瑠衣斗にセーブされながらも口にしたのだった。