「あの〜…恥ずかしい話なんですが、私お料理とか本当に下手で……」


「そうなの?じゃあ、私が教えてあげるわよ」



何かいいな…こう言うの。



自分の母親と一緒に料理とかをした事のない私には、何だかとても新鮮だった。


「是非よろしくお願いします」


「ええ、喜んで♪」



可愛らしくニッコリと笑ったお母さんに、クスッと笑いが漏れた。


るぅも慶兄も、料理が上手なのは、きっとお母さんの影響なんだろうな。


「じゃあ、このお皿並べてくれる?それからみんなを呼んできてちょうだい」


「はい」



受け取った大皿からは、美味しそうな香りと湯気が上がる。


その大皿をテーブルに並べると、私は足早にみんなの集まる居間へと向かった。


「ご飯ですよ〜」



相変わらずうるさい声のする部屋に顔を覗かせ、その声を遮るように声を掛けた。


「うおー腹減った〜!!」


「龍雅はずっと何か食べてたじゃねーか」


龍雅と宗太のやりとりに、苦笑いが漏れる。



「ももちゃんはおじさんの隣ね」


「あ、はい」


ニコニコと笑う瑠衣斗のお父さんは、とても渋い。…んだけど、言う事が本当に可愛らしい。



「親父にはお袋が居るだろ」


呆れたように言う瑠衣斗は、心底迷惑そうにお父さんを見ている。


「だって由良と違って、女の子らしくて可愛いんだもん」



「…由良にチクるぞ」