「いいわよ、疲れてるだろうしゆっくりしていて?」


「いえ、そう言う訳にはいきません」


優しく言うお母さんは、本当に瑠衣斗と似ている。


ふわりと笑う瑠衣斗のお母さんに、どこか自分の母親の面影を探していた。


お母さん…って、こんな感じだったかな…?


少しだけ、何だか胸が切なくなった気がした。


「あらそう?じゃあ…少し手伝ってもらえる?」


「はい」


並んで部屋を出ると、少し離れたキッチンへと入る。


広々としたキッチンは、純和風な外装とは少し違って、リフォームされたようにとても綺麗にされている。


「料理はね、もうできてるのよ。そこの食器棚からお皿とか適当に出してくれる?」


「はい、分かりました」



言われたように、大きな食器棚から適当にお皿を出した。


瑠衣斗のお母さんは、出来ている料理を大皿によそったりと、テキパキと動く。


広々とした足の長いテーブルにお皿を置くと、そんなお母さんの隣へと並ぶ。


「うわぁ〜すごいですね」


「ふふ、お口に合えばいいけど」



鍋からは湯気が上がり、美味しそうな飴色をした煮魚が取り出されている。


「川魚ですか?」


「そうよ。今朝取れたばかりの鮎なの」


「鮎ですか!?私食べた事ありません」


「本当に?おばさん、責任重大だわ〜」



目が合うと、ニッコリと笑ったお母さんに、吊られて私まで笑顔になった。