声のした方を見ると、胡座をして不機嫌に眉を寄せた瑠衣斗が、2人を睨んでいた。


「ふふ、お帰り瑠衣斗」


「……それはさっき聞いた」


「おっ。そう言えば久々だなあ〜お帰り〜」



狙ったかのようなお父さんの二段落としに、瑠衣斗が呆れたように溜め息を吐く。


何だかいつもより、瑠衣斗が子供っぽく見えるのは、きっとご両親の前だからだろうか。


何だか少し、羨ましいな。



その時、終始やりとりを笑いながら見ていた由良さんが声を掛ける。


「あっ、私そろそろ帰らなきゃ。ダーリン達もそろそろ帰ってくる頃だし」


一緒に住んでいるのかな?と思っていた私は、その言葉に近くに住んでいるのかな。と、ふと思う。


「本当はこっちに旦那と子供も来る予定だったんだけど、明日朝が早くて。また日を改めて一緒に来るから」


「おねいさま帰ってしまわれるのですか!?」


本気で残念そうな龍雅の様子に、由良さんは笑っている。



本気で節操ないんだから。



宗太も同じ事を思ったのか、冷たい視線を思いっ切り龍雅へと向ける。


「ゆらおねいさん、またみんなに会いにくるから〜♪」


そんな由良さんに対して、今度は瑠衣斗が呆れた様子で溜め息を吐いたのだった。


「ももちゃん」


そんな様子に苦笑いしていた私に、由良さんが声を掛けてき、予想もしなかった事に思わず驚いて振り返る。


「はっ、はい!?」



目をしばたかせていると、由良さんから予想外な言葉が飛び出す。



「今度、いい人紹介しちゃうね。うふっ」