ふんわりと香る美春の甘い香りと、優しい温もりに、顔を跳ね上げた。
「…へっ……」
「ももぉ〜っ、泣いてんのぉ〜!?」
背後からグッと抱き締められ、訳が分からないまま固まった。
「…美春……?」
「ももぉ…ドレス…大切なっ、どっどっ…ど、ドレス、ありがどぉ〜〜」
ぎゅうぎゅうと私を抱き締めた美春は、一向に離してくれる気配がない。
驚きながらチラッと横に目を移すと、私の頬にピッタリと自分の頬をくっつけた美春が目に入り、目からはポタポタと涙が溢れ、私のドレスにシミを作る。
外気に触れて冷えてきていた頬に、ぬるい涙が頬を伝う。
グッと私を抱き締めている美春の腕をそっと掴み、みんなの視線も声も気にならない程、私は美春と共に大泣きしていた。
一瞬、俊ちゃんの存在が気になったが、溢れ出てくる涙を止める事ができなかった。
「美春、おめでとさん」
「幸せにしてもらえよ〜」
私の両隣に座る慶兄と瑠衣斗は、苦笑いしながら美春に祝福の言葉を伝えるが、まともな美春の返事は聞き取れなかった。
「まだ泣くにははえーだろお!!なあ宗太!!」
「…俺泣きそうだ」
「おめーまじねえよ〜!!」
周りの暖かな笑い声が、二人を祝福しているようだ。
いろいろな場所から、美春と俊ちゃんを祝福する声が聞こえる。
「もも…大好き」
「うん、私も」
ふっと視線が美春と交わり、泣き笑いのようにクスクスと笑い、二人で頬をグッとくっつけあった。
幸せにも、イロイロな形があるんだね。
――…お母さん。