30分は散歩をしただろうか。


時間はあっと言う間に過ぎ、瑠衣斗の実家へと帰ってきた。


敷地内へと足を踏み入れると、先程までなかった乗用車が瑠衣斗の車と並ぶように停車している。


自然と足が止まる瑠衣斗と、私。


そして、それに引っ張られるようにして足を止めたももちゃん。


不思議そうに振り返った姿が、可愛らしい。


「親父らだ…」



ポツリと言った瑠衣斗の言葉が合図のように、胸がドキドキと加速し始める。


何か無駄に緊張してきちゃった……。


何も言えないでいると、瑠衣斗に握られていた手を引っ張られ、それに反応するように驚いて顔を向けた。


「な、なにっ」


「端から見ると、俺らおかしくね?」


「え………あ」


立ち尽くす自分達を思うと、自然と頬が緩む。


「自分ちの前で何やってんだろうな」


「ホントにね」



自然と再び歩き出した時には、不思議と穏やかな気持ちだった。


近付くにつれて、家の中からは賑やかな笑い声が聞こえてくる。



玄関を目の前に、何故か再び足を止めた瑠衣斗を見上げると、何かを意気込むように私を見つめている。


「…行くぞ。入るぞ」


「う…うん……??」



そんなに気合い入れて……そんなに気合い入れる必要あるの?


何だかよく分からない瑠衣斗に、笑いを堪える事で精一杯だ。


でも、そっと離された手に、寂しさを覚える。



そんな私をよそに、何故か優れない様子の瑠衣斗が玄関を開けた。