どれくらい眠ってしまっていたんだろう。
宗太の呼ぶ声で目が覚めた。
「おーい。起きろ〜」
わさわさと揺すられ、私はすんなりと目を覚ました。
周りを見渡すと、車内に差し込む光は、少しだけ日が傾きかけているようだ。
体がずっしりと瑠衣斗の重みで重たい。
寝起きの悪い瑠衣斗は、宗太によって無理やり起こされている。
「う〜〜ん〜…何だよ〜〜」
絞り出すように言う瑠衣斗は、まだ目をあけていない。
やっぱり抱き枕か何かと勘違いしているようで、唸りながらギュウギュウと締め上げられるようだ。
「る…っ……苦しぃ」
「ん〜?……あれ?」
やっとの思いで発した私の声に、瑠衣斗がやっと重たい瞼を持ち上げた。
状況が分かっていないようで、私と宗太を見比べ、しばしフリーズする。
そんな瑠衣斗に、宗太が呆れたような声を出す。
「お前よ〜、何で目的地が道の駅なんだよ」
「えっ、あ、俺んちもーすぐ」
「…分かるか」
そんな会話を聞きながらも、離そうとしない瑠衣斗の腕の中から抜け出した。
ブランケットを取り払うと、大きく瑠衣斗が伸びをした。
図体がでかいもんだから、更に大きく見える。
「あれ?龍雅は?」
どこを見渡しても、あのうるさい龍雅が見当たらない。
一番にからかってくる人物が見当たらず、私は宗太に目を向けた。
「またナンパじゃね?」
呆れきった宗太の顔は、探す気も無さそうだった。