突然、車の窓をパタパタと叩く音に目を薄く開けた。
「おー…降ってきたなあ」
「あんな晴れてたのに」
のんびりとした龍雅と宗太の声に、そっと窓を見上げた。
快晴だった空はそこにはなくて、いつのまにかどんよりとした灰色の空へと変わっていた。
重く垂れ込んできたような暗さに、昼間だと言うのに辺りが暗い。
雨粒が窓に当たる音は大きくて、車内を流れるBGMまで小さく聴こえる。
何だか急に、胸がモヤモヤしだす。
次の瞬間、パタパタと聞こえていた雨音は、一瞬にしてザーッと音を変えた。
打ちつけるような雨音と、周りの暗さに嫌な感覚が生まれる。
やり過ごそうと再び目を閉じるが、眠れそうにもない。
山の天候は変わりやすいし、またすぐに止むだろうと思いながらも、嫌な感覚に胸がモヤモヤとする。
そんな事を考えていた矢先、回されていた腕に力が加わり、驚いて身を固めた。
「うぅ…ん」
「………。」
体制がキツかったのか、再びグッと抱きかかえ直された。
そんな瑠衣斗に意識を全て持っていかれてしまい、無駄に肩に力が入ったままだ。
絶対に、抱き枕か何かの代わりにしているだろう。
そんな瑠衣斗の力と温もりに、頬が緩んだ。