瑠衣斗は本気で寝てしまうようで、見事に席は倒されてしまっていた。
安心しきって身をもたれかけていた私は、自分の重さで勢い付き、そのまま一緒に倒れてしまったのだった。
「宗太ちゃんと後ろ見張ってろよ!?」
「……何を今更…。てゆーか座席倒されたら死角に入って見えねーし」
「なに!?」
訳の分からないやり取りを耳にしながら、全神経は隣の瑠衣斗に向けられていた。
「龍雅が見てればいいだろ?」
「俺酔うもん!!」
「…………」
「………えっ無視?」
事前に用意してあったらしい大きめのブランケットを、瑠衣斗が後ろから取り出し、すっぽりと私と瑠衣斗に掛けた。
私も一緒に寝るらしい。
何となく、真上を向いていた私は、ゆっくりと瑠衣斗に背を向けた。
瑠衣斗がどんな体勢をしているかは分からなかったけど、恥ずかしすぎて目を閉じる事すら忘れてしまいそうだったからだ。
話題は逸れて、いつものような会話をしている宗太と龍雅に、なるべく意識を向けた。
そうでもして意識を誤魔化さなきゃ、眠れそうにもない。
別の事を考えようと、フルに頭を働かせようとした所で、ふと先ほど寄ったサービスエリアで、店内を見る事を忘れていた事を思い出す。
……ソフトクリーム食べたかった。
軽いショックを受けた私は、またいつでも食べれる……と思い直しておく。
やけに瑠衣斗が大人しいな。なんて思う余裕が少しだけ出てきて、そっと顔だけで振り返ってみようと試みる。
でも、そんな私を余所に、私のお腹に力強い腕が回ってきて、身をきつく固める羽目になる。
グッと力が加わったかと思うと、気が付けば瑠衣斗のお腹と私の背中はピッタリとくっついてしまっていた。