車へとやって来ると、瑠衣斗は後部座席へと向かった。
続けて龍雅がその後に続くので、そのまま助手席へと乗り込もうとした私を、瑠衣斗の声が突然引き止める。
「もも後ろ」
「へっ?なんで」
急に何を言い出すの!?と、顔が赤くなっていくのが分かる。
えっ、素直に従うべき?でもまた龍雅が変な事言いそうだし。それに言うこと聞いて瑠衣斗にまで何か思われたくないし………。
なんてごちゃごちゃと考えていた私に、龍雅が口を開ける。
「そんなに俺のそばに居たくないのかーっ!!!!」
「だからそれが寝れないんだろ。うるさくてうたた寝すらできねー」
……あ、そうか。そうだね。
何だか少しガッカリしている自分と、嬉しく思っている自分とが居て、内心複雑だけど。
でも今回は、少しだけ。ほんの少しだけ、龍雅に感謝しよう。
何だかまだうるさい龍雅を無視して、瑠衣斗に詰め込まれるように車に乗せられた。
そんな私の様子を確認してから、瑠衣斗が続けて乗り込んで来る。
哀れな龍雅を無視して、重いドアは閉められてしまった。
当然のように、隣にやって来た瑠衣斗は、そのまま腰を下ろした。その瞬間、胸が飛び出しそうになる。
――…やばい。意識しまくってる。
なんて考えていた私は、次の瞬間視界が一転する。
「ふわぁぁ」
一瞬、バランスが崩れたかと思うと、ぐるんと天井が目の前に広がっていた。
そんな私の声に、助手席へと乗り込んだ龍雅が、お約束のように反応する。
「俺を混ぜてくれーっ!!!!」
「はい出発〜」
「ちょ!!待て宗太ぁぁ!!」