龍雅を見ていると、本当に可哀想になる。
何故かは、飽きる程何度も思ってきている事だ。
「…ドンマイ」
「えー!!!!何それももちゃん!!!!」
たくましく生きてくれ。
「おめーら暇しねーよなあ」
笑いながら言う宗太に、一緒にしないで。と言いたい所だが、また龍雅が絡んでくるのは見え見えなのであえて言わない。
対してそんな中、るぅはのんきに欠伸をしている。
目の縁に薄く涙をためている姿が、何だか幼さを感じさせる。
無防備すぎる姿に、また胸が疼く。
「そろそろ運転代わるか?もう少し寝ろよ」
「ん〜…道分かんねーじゃん」
宗太の言葉に、相変わらず眠そうな返事をする瑠衣斗は、どう見ても私も寝かせた方がいいと思う。
「何のためのナビなんだよ」
「あ、そうか」
簡単に話はまとまり、自然とみんなは腰を上げた。
つられて腰を上げようとした私に、手が差し伸べられる。
跳ね上げるように顔を上げた私は、中途半端な体勢で瑠衣斗の顔を見つめた。
「…ん?何だよ」
「えっ、あ、ううん」
少し躊躇したが、いつまでも手を掴まないのも変に思われたくないので、素直に手を重ねた。
グッと軽く力が入り、いとも簡単に私は立ち上がる事ができた。
こういう力強さに、何だか男らしさを感じてしまう私は、やっぱり痛いのだろうか。
「ありがとう」
「うん」
離れていく瑠衣斗の手に、心残りを感じる。
大きな手のひらに、もっと触れていたい。
「行くぞ〜」
少しだけ先を歩く龍雅と宗太に続き、遅れてるぅと歩き出した。