「友達やめるよ?」
「そりゃ大変だ」
そんな私の言葉に、クスクスと笑いながら答えた瑠衣斗は、掴んでいた私の腕から手を離し、そのまま私の頭に軽く触れた。
「横になると気持ちいいだろ?」
「え?」
心地よい風が、ふわりと緑の香りを運んでくる。
時々鼻を掠める甘く爽やかな香りが、胸をギュッとさせる。
「疲れたろ?ずーっと座ってんのも大変だろ」
長い時間運転していたるぅの方が、きっと疲れている筈なのに。
当たり前のように一緒に居るから、それが普通になって当たり前になっちゃうんだ。
こうしたるぅの優しさは、今も昔も変わらない。
きっと私は、すごくるぅに甘やかされちゃってるね。
「大丈夫だよ。るぅの家でのんびりさせてもらうから」
トクントクンと、規則正しい瑠衣斗の胸の音が、とても気持ち良い。
大きな手のひらに、安心感が生まれる。
「嫌味にしか聞こえねー」
心底そう思っているような言いように、笑いを噛み締めた。
「…何笑ってんだよ」
「わ、笑ってないない」
上擦っている私の言葉に、瑠衣斗は何も言わなかった。
代わりに、軽く頬を摘まれた。