サラサラと流れる水の音と、楽しそうな家族連れの声に、普段の喧騒から解放された雰囲気に、とてもリラックスできた。


そっと再び瑠衣斗に目を向けると、悪戯な風のせいで、ふわりと瑠衣斗の目元を髪によって隠してしまっていた。


本当に寝ちゃったのかな?



そう思いながら、顔をのぞき込むように上から表情を伺ってみるが、やっぱり目を閉じたままだ。


そっと額に掛かる前髪を流してやると、瑠衣斗がピクリと反応し、ゆっくりと瞼を持ち上げた。


薄く開いた瞳に、キョトンとした間抜けな顔をした自分が写り込んでいる。


「お、……起こしちゃった?」



薄く瞼を開けたまま、瞬きを繰り返しながらも目を逸らさない瑠衣斗に、冷や汗が出てきそうだ。


薄い色素の瞳は、太陽の光を取り込んでしまったように、キラキラとして何だか吸い込まれてしまいそうだ。


「ん!?えっちょっ…――!!」



そのとき、目をそらせないでいる私の左腕が、グッと何かに引っ張られてしまい、そのまま倒れ込むように瑠衣斗の胸に崩れてしまった。



「チュウすっぞ」



胸元から響く瑠衣斗の声が、ダイレクトに耳へと響く。


一瞬の出来事に状況が理解できない私に、瑠衣斗の言葉の意味を理解するのにも時間がかかってしまった。


覗き込む際に支えていた左腕を、瑠衣斗の手は簡単に引っ張ってしまったのだ。


「ちょっ!?るぅ!?」


「少しは黙れよな」


「寝ぼけてないで離してよ!!」


「だからチュウするぞ」



この際、寝ぼけてようが寝ぼけてないが関係ない。状況が状況だ。


こんな公共の場で何て事を!!



「離してよー!!」


「そんなにキスされてえのか」



だから違うって!!


誰かるぅを!!!!