やっぱり辺りを見渡してみても、宗太と龍雅の姿は見当たらない。
「ん?どうした?」
「え?」
声を掛けられると思ってなかった私は、パッと瑠衣斗に視線を上げた。
じっと不思議そうに私を見つめる瞳に、ドキリと胸が縮む。
「キョロキョロして」
「あ、うん。宗太と龍雅居ないかな〜って」
「何だよ。俺と2人きりじゃ不満か」
ええ!?何でそうなる!?
ツーンと視線を外した瑠衣斗に、あわあわと慌てた。
「そんな事思ってないから」
「ふうん?」
子供っぽい瑠衣斗の態度に苦笑いが漏れる。
るぅって本当によく分かんない。
そんな事を言いながらも、ちゃんと私に歩幅を合わせて歩いてくれる瑠衣斗に、やっぱり頬が緩む。
瑠衣斗の一言や行動で、こんなに慌てたり喜んだりする自分に、可笑しくなってきてしまう。
ほどなくして、先程見た芝生の綺麗な緑色が広がった場所までやって来た。
もう少し先に、サラサラと水の流れている音がする。
「川?行きたい!!」
「はいはい、そんな急ぐなよ」
軽い駆け足で進むと、程なくして小川のような川が現れた。
「るぅ、冷たいかな?」
「うん、めちゃ冷たいと思う」
しゃがみ込んで、そっと手を伸ばして流れる水に触れてみると、とても冷たい水の感触に気分がクリアになるようだ。
「冷たい?」
背後から声を掛けられて、後ろを振り返った。
穏やかな表情で私を見ている瑠衣斗に、またドキリと胸が反応する。
思わず勢い良く前に向き直り、両手で水をすくってみた。
「すっごく冷たい」
何か……今更だけど、すっごく恥ずかしい。