「慶兄と付き合うようになってからさ、何てゆーか……」
一言一言、考えながら話す瑠衣斗から、目が離せない。
今まで、数年の付き合いの中でも、こんな瑠衣斗を見たことがなかった。
「少しずつ…良い方に変わってくももを見ててさ、それが慶兄と別れた事で……また寂しい思いすんじゃねえかって。また戻っちまうんじゃねえかって」
「私…良い方に?変わってってた…?」
本当に瑠衣斗は、私の事よく見てくれてたんだね。
一緒に居る時間が少なくなっても、ちゃんと気にかけてくれてたんだ……。
「何か悔しいけどよ。少しずつ……」
私…変わった?前よりも少しは…変わった?
「だから、慶兄が居なくなって寂しく思ってんじゃねーかなって」
本当に、るぅは鈍感だね。
寂しいのは確かだけど、私は慶兄に約束したんだよ。
頑張るって。
「そんな事ないよ……って言ったら嘘になっちゃうかもしんないけど」
素直になりたい。
素直に気持ちを言葉にしたい。
「今は大丈夫。だって、そんな風に思ってくれてる人が居るし。それに、るぅと私は何も変わってないじゃん」
そんな私の言葉に、ずっとヘルメットに視線を落としていた瑠衣斗が顔を上げた。
色素の薄い瞳に、月明かりが写り込んでキラキラとしている。
少しだけ驚いたような顔をした瑠衣斗から、視線を外さずに再び口を開けた。
「変われたとしたら、キッカケはるぅだと思うし、るぅのおかげでもあるよ」