瑠衣斗の単車は、混み合う大通りの車の間をすり抜け、繁華街からどんどんと遠ざかっていく。
街の光が、置いてきぼりにされていくようだ。
たくさんの人々が、このたくさんの光の中で、それぞれの生活を送っている。
腕の中のぬくもりを確かめるように、私は腕にギュッと力を込めて目を閉じた。
私、いつかまた1人ぼっちになっちゃうのかなあ……。
こんなに近くに居るのに、物凄く距離を感じてしまう。
たびたび訪れる寂しさは、慶兄との別れのせいか、家族が居ない寂しさからなのか、自分の心の中が分からない。
自分の気持ちも分からないのに、瑠衣斗の気持ちなんて分かる筈もない。
そもそも誰も、人の気持ちなんて分かる訳ないんだ。
瑠衣斗が告白をするのも、時間の問題だと思う。
そう思うと、今自分がどうするべきなのかも考えたくなくなる。
何だか瑠衣斗を失ってしまうような気がして、無性に泣きたくなった。
久しぶりの瑠衣斗の後ろは、私にとってはやっぱり特等席だ。
少し長い襟足に、胸がトクトクと鼓動した。
何ヶ月ぶりかな……るぅの後ろ。
許されるものなら、このまま瑠衣斗を独り占めしたい。
人を好きになるって、どんどん自分が我が儘になっちゃうのかな?