「おし、行くぜ相棒」


「あい」



すっぽりと、ヘルメットを被せた私に向かって、瑠衣斗が振り返る。



目だけを向けると、サラリとした前髪の間から、色素の薄い瑠衣斗の瞳が覗いている。



「足届くか?」



「届くし乗るの初めてじゃないし!!!!」




心なしか、顔が熱くなっていく気がした。





「ふっ……必死」



「べっ…つに!!」



笑いを抑えた声で、顔が思いっきり笑ってる。




な!?なによその余裕!!



ドキドキし過ぎて、ビックリし過ぎて、きっと私真っ赤だよ!!




「ま、いいから行くぞ」



そう言いながら、ポンポンと私の頭を叩きながら、笑う瑠衣斗に目が奪われてしまう。




本当にこいつは……何度私の心を盗めば気が済むのだろう。



単車に跨った瑠衣斗に続き、瑠衣斗の肩を借りながら後ろへと跨った。



腕を回すのに一瞬躊躇したが、変に思われる前に潔く腕を腰から回した。



広い背中に、やっぱり私の胸は酷く鼓動しだした。




ほのかに香る、瑠衣斗の香りに、胸がいっぱいになる。




ぼこぼことした自分や美春とは違う筋肉質な体に、本気で冷や汗が吹き出してきそう。



今まで意識もしなかった事が、次から次へと出てきてしまい、脳がショートしてしまいそうだ。



瑠衣斗は単車を軽く吹かすと、そのまま大通りへと勢い良く単車を走らせた。