「……へ?」
見せたい…モン??
見せたいモノ…??
「観光地…なの……?」
観光スポット的な何かかな?
遠慮がちに質問してみたが、なぜか軽く睨まれた。
「田舎扱いすんな」
「ちがっ!!てか観光地って、田舎とは限らないし賑やかじゃん」
「俺の地元は賑やかじゃねえってか」
何だか先走ってしまったらしい。
おかげで、すっかりむっつりしてしまった瑠衣斗に、苦笑いしてみた。
「はあ…まあいいや」
盛大に溜め息を吐き出した瑠衣斗は、眉を下げ、心なしか呆れたような表情にも見える。
でも、そんな一言で納得できる程、何も瑠衣斗から聞かされていない。
「ちょっと。だったら何よ」
「だからいいって。向こう行ったら連れてくし」
何だか簡単に片付けられてしまったが、これ以上は詮索する気もなかった。
心なしか、単純に嬉しい自分が居たからだ。
こうして瑠衣斗本人から、瑠衣斗の地元を案内してくれるなんて思ってもみなかったから。
ただでさえ、地元へ帰る事を躊躇していた瑠衣斗からは、想像も予想もしていなかった言葉だった。
でも、どうしても気になって仕方ない私は、これだけ聞いてみた。
「どこ……連れてってくれるの?」
「ん〜……内緒〜♪」
教えてくれなさそうではあったし、それでも構わなかった。
本当に現金だな、私。
顔が緩むのが分かったが、構わなかった。
見上げた瑠衣斗は、くしゃっとした八重歯を覗かせた笑顔で、私に視線を落とした。