用意しておいた、膝丈のブルーのドレスを着込み、軽く化粧を直してストールを肩に掛け、部屋を出た。
向こうはうまくやってるかなぁ…。物凄く不安なんだけど。
そう思いながら、中庭に面した廊下を抜け、会場となる場所へと近付くと、ザワザワとした人の気配と声に、胸がドキドキと高鳴っていった。
「お、捨て猫ちゃん!!かっわいい〜!!」
「あ〜純平!!今日はありがとうね。夏希は?」
この日のために、夏希と純平にはお手伝いを頼んで来てもらっていた。
とことん手作りにこだわろうぜ!!と言う龍雅の一声に、予算を削ると言う事もあって夏希と純平にはドリンクを提供してもらう事になっていた。
「え〜っと、あ、来た来た」
純平の目線を辿り振り返ると、正装姿の夏希がこちらに向かって来る所だった。
「お。ドレス似合うなぁ!!」
そう言いながら近付く夏希に、思わず見とれた。
「二人とも…ちゃんとすれば格好いいね」
「激しく酷いな」
この計画を始めてから、すっかり美春と俊ちゃん以外と交流を深めた二人は、お店の宣伝をすると言う条件を提示しただけで、ドリンクの提供代は一切受け取ってくれなかった。
『店を宣伝させてもらって新規を確保できれば、モトなんてすぐ取れる』
そう言って聞かない夏希と純平に、渋々私達が折れたのだった。
「かぁ〜。いいねぇこの雰囲気!!俺も結婚してぇ!!」
「純平はまず彼女を作れ」
二人の会話を聞きながら、美春が心配でそわそわする。
あ〜っ、緊張する!!