今考えていた事なんて、言える訳ないでしょうよ。


なーんて言える筈もなく、ただ曖昧な笑顔を返しておいた。



「じゃあ逆に、なっちゃんとじゅんちゃんならどーするよ」


「自分のモンにしてえわな!!」


「だなー。俺はそばから離したくねえな〜」



言い方さえ違うだろうけども、男も女も、思う事は一緒だろう。


そんな事を思いながらも、心がずっしりと曇る。



瑠衣斗の好きな人って、本当に誰なんだろう。


こんなにも想われてて、羨ましいよ。




そんな事を考えながらも、やっぱり私は酷い女だな、なんて思う。



羨ましいなんて上辺だけ。

本当は、切なくて切なくて潰されそう。


自分の醜い嫉妬心に、うんざりする。



どうしてこんなにも好きなのに、私は何もできないのだろう………。



「まあ、まずは告白じゃねーか?」



夏希がコトンと静かに、綺麗に拭き上げたグラスをカウンターへと戻した。


キラキラと照明を受け、滑らかな曲線に視線を注いだ。



何故か、頭から背中にかけて、嫌な汗が伝うような感覚に胸がざわつく。



何か…これ以上あんまり聞きたくないな………。


そう思いながらも、瑠衣斗の気持ちが知りたくて、その場から動く事もできない。



人って、不思議だ。



傷付くかもしれないってゆーのにね。



「告白…したつもりなんだけど」