夏希には、何故だかすんなり心うちを言えてしまう。
……違うか。
言わなくても全てお見通しだから、潔く言えてしまうのだろう。
「なあ、なっちゃんじゅんちゃん」
ずっと黙っていた瑠衣斗が、のんびりとした口調で夏希に声を掛けた。
「はいよ」
「俺さ〜……」
「………ってオイ、何だよ!!」
それっきり何も言わなくなってしまった瑠衣斗に、純平の突っ込みが入る。
どうしたんだろう?と思い、隣の瑠衣斗に視線を向けた。
肘を立て、顎を乗せた瑠衣斗は、ぼんやりとカウンター内にあるボトルを眺めている。
サラサラと流れるような髪に、思わず触れてしまいたくなる。
間から覗く瞳は、照明を反射するようにキラキラと輝いていて、思わず見とれてしまう。
「好きな奴いんだけどさ、どうしたらいい?」
「…………は?」
「だから、どうしたらいい?」
ひっくり返ってしまうような質問に、期待通り気の抜けた純平の返事が返ってきた。
突然飛んだ話に、気の抜ける事もなく、私の心臓は激しく縮まったようだった。
嫌なモヤモヤとした、胸を圧迫するような感覚が私を包む。
目の前が一気にクリアになって、思考が停止した。