「ほれほれ、まあ座れよ」
笑いを堪えたように言いながら、夏希が私と瑠衣斗に席を勧めた。
広いカウンター席がメインの店内には、まだ時間が早いせいかお客の姿はない。
脚の長い椅子に腰を降ろすと、カウンター内が眺めやすい。
綺麗に並べられたタンブラーや、様々な個性的な柄や形のリキュールが所狭しと並べられ、照らされた証明によってキラキラと輝いている。
「何か飲むだろ?」
カウンターの中に居た純平が、私と瑠衣斗の正面にやって来ると、ニコニコしながら温かいお絞りを手渡しながら聞いてきた。
「ん〜?どうしよっかな。私はパインジュース」
「俺はグランベリージュース」
「お前らよ〜、喫茶店じゃねえんだから」
そう言って笑いながら裏へと入って行く夏希に同意したように、純平も笑いながらもドリンクを用意し始めた。
「だってお酒弱いもん」
「俺運転あるもん」
「その前にももは未成年じゃろが」
手際良くグラスにクラッシュアイスを入れると、中にそれぞれのドリンクを注ぎ、コースターと共に目の前へと置かれた。
「にしても珍しいなあ、るぅちゃんともも二人って。てか初めてか?」
「う〜ん?…あ、そうだなあ」
そう言いながら私に視線を向けた瑠衣斗と、バッチリ目が合った。
一瞬にして縮まったように反応した胸が、ドキリとする。
「そう…かな?あ、だね」
思わず返事に焦ってしまい、可笑しな答えになってしまった。
曖昧に笑って答えた自分が、何だか痛い。