「とばすぜ相棒」
「あい」
瑠衣斗の可笑しなセリフに、返事をしながらも笑いが漏れた。
久々に乗せてもらう瑠衣斗の単車に、胸が高鳴る。
抱き付いた瑠衣斗の背中が、心地良い。
回した手に力を込めると、低いエンジン音を響かせながらスピードを上げて繁華街へと向かった。
ゴオゴオと耳元で聞こえる風の音と、瑠衣斗の単車の音は、全ての雑音を消してしまう。
腕の中の温もりを、いつまでも感じていたい。
ずっとこうしていたい。
そんな事を思いながら、瑠衣斗の背中に頬をすり寄せた。
ねえ、いつまでこうしていられるかな……?
いつまでこうして、そばに居てくれる?
時間を止める事ができたなら、今この瞬間を止めてしまいたい。
今まで通り、私の隣でずっと笑っていてほしいよ。
すっかり夏の香りのする風に、湿気を含んだ空気がじっとりと重い。
これからどうしたいのか、どうするべきか。
自分の気持ちが自分で分からない。
流れる光の景色の中、手の中の温もりを強く抱き締めた。
「……へっ…」
ポンポンと、私の手に触れた瑠衣斗の手のひらが、私の手を優しく包んだ。