久々に、瑠衣斗と並んで帰る道のりに、何だかそわそわする。



一歩一歩が、何故だかぎこちない。



「どーする?帰るか?」


「ん?え〜っと…どうしようかな」



こうして二人でいるのも、何だか久しぶりに思える。


どれだけ慶兄と一緒に居たのかが、改めて思い知らされるようだ。



いつも私を優先してくれていた慶兄に、感謝の気持ちが溢れ出るようだ。



「んじゃーさ、ちょっと付き合ってくんねえ?」


「別にいいけど…どっか行くの?」


「なっちゃんとじゅんちゃんトコ」



なっちゃん…じゅんちゃん…………夏希と純平ね。



ホントに、私なんかよりも私以外のメンバーの方が、結構頻繁に夏希のお店に出入りしているらしい。


あれだけ人混みが嫌だと言っていた瑠衣斗なんかも、ちゃっかり遊びになんか行ってるし。



「うん、行く」


「はいよ」



私の返事に、優しく笑って答えた瑠衣斗は、私の胸を鷲掴みにしてしまう。


さっきまでモヤモヤしていた気持ちが、いつの間にか消えてしまったようだ。



反対に、ギュッと締め付けられる痛みが、胸を一杯にする。



「あれ以来じゃね?二人でなっちゃんに会うの」


「…あぁ〜…二人では行った事なかったね」



美春と俊ちゃんの結婚式の打ち合わせでは、龍雅や宗太も居たりしたし、その頃には慶兄と二人で行って後から合流していたりした。



初めて二人きりで行く夏希のお店に、ワクワクするのが自分でも分かる。



本当に現金だな…私。



ヘルメットを被せてもらうと、そのまま瑠衣斗の単車へと乗り込み、ギュッと広くて大きな背中へしがみついた。