「え〜…っと…ももさん?」
「なに」
これ以上、構って欲しくない。できれば放っておいてくれないだろうか。
テーブルに並んだ料理を、小さく口に運んだ。
見た目通り、やっぱり美味しい瑠衣斗の料理に、本気で溜め息をつきたくなったが、グッと飲み込んだ。
女としてどうなんだろう。
まじ自信無くすよ……。
慶兄も、料理はやっぱり上手かったし、同じ女である美春だって料理は上手い。
私のとりえなんて、何もない。
「……女の子の日?」
「……………」
ポツリと言った龍雅に対して、思わずジロっと睨み付けた。
目が合うと、龍雅が慌てて目を逸らす。
「お前…ホントにデリカシーなさすぎ」
「龍雅が原因に決まってんだろ」
「え!?まじか!!俺ってやっちゃった感じ?」
間違いなく、女の子の日のせいではないけれど、そのせいにしてしまいたかった。
自分らしくない感情に、私は何の歯止めもかける術もない。
何とも言えない感情に、ただ流されるしかない。
胸の奥で、モヤモヤと渦を巻き初めてしまった感覚が、すごく嫌だ。
頭の中では、瑠衣斗の言葉が何度も何度も木霊する。
慶兄の言ってくれた言葉も、今の私には何の力も与えてくれなかった。
「もも?気分悪いのか?」
「え……ううん」