グズグズと鼻をすする美春を手伝って、ウエディングドレスを着させる。



初めて間近で見る生のぽっこりと膨らんだ下腹部に、何だか胸が震えた。



幸せになってね。絶対。



そう願いながら、背中のファスナーをゆっくり閉じていく。


「ももさ、私のマタニティの服作るとか言って採寸してたじゃん?あれってこのドレス作るためだったんだね」


「実はねぇ〜。まぁ…作るって言うか、リメイクなんだけどね?ゴメンね」


「リメイク…?」



肩越しから私を振り返った美春は、まだ乾かない瞳を赤く腫らして私をキョトンと見つめた。


「うん。これ、お母さんがとっておいたドレスなんだよね。お古でゴメンね」


「……おばさんの…?」



目を大きく見開き、驚いて呟くように言った美春の瞳が、驚いた表情のまま私を見つめている。


「うん。実はね」



そう言って答えた私を、じっと見つめている美春の瞳が、どんどんと潤ってきて、静かに雫が零れる。



「ももぉ…あた、あた、…っ」

「え!?な、何で泣くの!?」



ファスナーを上げきり、美春の前に回り込んで肩に触れた。


微かに肩を震えさせ、声を押し殺して泣く美春に戸惑いながら、触れた肩をさすった。


「あた…っき、着れなっ…」


「着てるじゃん」



苦笑いをして、頬の涙を拭ってあげた。


白い肌が赤く染まり、美春は嗚咽を繰り返す。


「もぅ…泣かないでよぉ。みんな待ってるよ?」



落ち着かせようと背中を撫でてやると、美春はグッと目を閉じ、息を止めた。


肩の震えを止め、パッと目を開ける。


「えへ…こんなに泣いてたら…赤ちゃんに笑われちゃうね」


「そうだよ」



泣き笑いのように笑う美春に、ホッと胸を撫で下ろした。