まさか視線を向けられるとは思っていなかった私は、ビクッと過剰に反応してしまい、慌てて冷静を取り繕った。
「なにっ」
思わず言葉に力が入ってしまい、顔が熱くなる。
周りでは、慶兄と龍雅、それに宗太が何か話を始めてしまい、助けを求める事もできない。
「まじなのか?」
怪訝な顔をした瑠衣斗が、姿勢を低くして私に疑問をぶつける。
色素の薄い瞳に、思い切り構えた私の顔が写り込んでいる。
「う、うん。ホント」
何とかそう答えた私を、瑠衣斗がじっと見つめる。
視線を逸らしたくても、じっと見つめられているせいか逸らすこともできない。
何も言わずに私を見つめる瑠衣斗に、鼓動が早くなる。
周りの声は、耳に入ってこなかった。
「…な、によ」
何も言わない瑠衣斗に対して、思わずそう口にした。
いつまでもじっと見つめられていても、何だか可笑しな光景だ。
「ふうーん……」
……ふうーん?って何それ。あんなけ溜めといてそれだけ!?
根負けしそうになりながらも、負けじと言葉を頭の中で必死に考えた。
何か言わないと!!と、焦れば焦る程言葉が出ない。
じっと見つめられているせいで、変な汗まで出てきそうだ。
瞬きをやたら繰り返していた私に、急に瑠衣斗がふっと表情を崩した。
「…へっ?」
何故か柔らかく笑う瑠衣斗に、今度は戸惑う。
な、何で……笑ってんの??