「……いつ…」
「ん?ん〜…さっき?」
ポツリと言う瑠衣斗に対して、慶兄は淡々と何の事もないように答える。
自分も何か言った方がいいのかもしれないが、言葉が浮かばない。
そんな私と慶兄と瑠衣斗の様子を、珍しく大人しく見ている龍雅が何だか怖い。
いつもうるさいし、すぐに口を出す龍雅が大人しいと、何だか不安にもなってくる。
何も言わない、何も言えない自分が卑怯に思えて気持ちが沈むようだ。
「はあ〜〜!?」
突然大声を出して今更驚いた瑠衣斗に、体が5ンチは飛び上がった。
「…びっ、びっくりした……」
「うっせーなあ」
思わず声を出すと、慶兄も迷惑そうに瑠衣斗を軽く睨んだ。
対して瑠衣斗は、心底驚いた顔をして固まっていた。
「反応おっせー!!だははは!!!!」
「何だよその時間差」
下品に笑い出した龍雅のおかげで、場の空気が和んだ。
それでも、私の心は和む事はない。
「ま、そーゆう事だ」
「そーゆう事って…」
「とりあえず座れよ」
「……うん」
まだ驚いた様子の瑠衣斗が、ようやく私のそばに腰を降ろした。
そんな瑠衣斗に反応するように、心臓がドキリと跳ねた。
よりによって今は近くに来て欲しくなかったー!!!!
なんて私の気持ちが伝わる訳もなく、胡座をした瑠衣斗はポカンとしたまま私に視線を向けた。