下を向いたまま、何も言わず動かない美春を覗き込もうと、そっと近付いた。


「えぇ〜…っと、美春〜?」


「……これ」


「えっ、う?うん、な、なに!?」



どもる私に向かい、突然顔をガバッと上げた美春に驚きながら、すぐに身を固めた。



―――…えっ。



「なにコレぇ〜〜っ、もぉ〜〜〜っぐずっ…ぶぇ〜〜〜っ」


「美春!?ちょっと…い、嫌だった?ごめん!!」



顔を上げた美春は、見事な泣き顔で、目からはどんどん涙が溢れている。


「ぢっ…ぢがう゛〜っ、う、うぅ…うれ、うれし…っ」



ギューッとウエディングドレスを抱きしめた美春の涙が、抱きしめたウエディングドレスにシミを作る。


「あ、えと、泣いたら化粧できないから!!ほら、着替えてくれる?」



苦笑いしながらも、美春の姿にホッとした。


こんなに喜んでもらえるなんて、想像もしなかった。



頑張って作って良かった……。

作ったと言うか………ま、いっか。


「ほらぁ、準備するよ?今からセットしてくれる人来るから、落ち着いて?」


コクコクと頷く美春は、ウエディングドレスを抱きしめたまま、静かに涙を流し続けた。



少しだけ、つられて泣きそうになったけど、それは言わない。


それに今日は、笑って過ごしたいと思っていた。



「俊ちゃんに見せてあげよう?」


「う゛…う゛んっ」