「遅かったなー」
「……うん?」
慶兄の言葉に、瑠衣斗が慶兄と私を見比べて眉を寄せる。
変な所で鋭い瑠衣斗に、気まずすぎが生まれ、何だか逃げ出したくなる。
こういう時、美春の存在が改めてありがたいとつくづく思う。
いつも私のそばに必ずいた慶兄が、近くに居ない事を不自然に思うだろう。
それを思ったのか、瑠衣斗は何時私と慶兄を見比べた後、宗太と龍雅に視線を移した。
「……何かあった?」
「いやいや、俺らに聞くなよ〜!!」
……ほらね、やっぱり。
思わず慶兄にチラリと視線を向けるが、バッチリと目が合ってしまう。
慌てて視線をはずしたが、とっても不自然だったに違いない。
ああ…どうしよう。
一気に汗が噴き出しそうになり、顔が引きつる。
そんな私の様子に、慶兄が吹き出した。
それでも顔を俯くしかなく、胸がグッと締め付けられた。
気まずい気持ちを隠しきれず、慶兄を見る事ができない。
もし私が、慶兄と逆の立場なら、きっと辛いに違いない。
私なら、今この状況すらいたたまれない。
そして、絶対に耐えられない。
慶兄は、何を感じているんだろう。
「………喧嘩?」
「だから俺らに聞くなよ!!!!」