ひとまず話は終わり、いつの間にか力の入っていた肩の力をホッと抜いた。



後から個人的にも、また何か言われるだろうけど………。



そして改めて、慶兄と別れたんだという実感がふつふつと湧いてきて、何だか胸が疼いた。


正直、やっぱり寂しい。


でも、慶兄の気持ちを無駄には絶対にしたくない。


こんな私の気持ちを、慶兄は感じ取りながら一緒に居てくれたと思うと、申し訳なさに潰されそうだ。



結局私は、卑怯な人間なんだ。


こんなにいい人を、私はずっと騙していたと変わりない。





「もも?どうした?」


「う、えっ?どうもしてないよ?」



顔に出ていたらしい私に、慶兄が不思議そうに声を掛けてきた。


こんなに気に掛けてもらって、あんなに大切にされて、私はどうしてこんなにダメな人間なんだろう。


「そうか、ならいい」



ふっと表情を和らげた慶兄に、曖昧に笑う事しかできなかった。



「それにしても、あいつおっそいなあ」


「まあ相手がジュリだしな」



ソファーにもたれ掛かりながら、慶兄が天井を仰ぐようにしながらそう言うと、宗太が苦笑いをして答えた。


「最近本性出してるよな!!ネコ被りやがってた!!」


「大人しい奴だと思ってた」



龍雅と宗太の会話に、慶兄がクスクスと笑う。



ジュリ……私は大人しいとは思った事なかったけどな。


不思議君ではあったけど。



「いつからるぅとあんなに仲良くなったの?」


「………え…」


……えっ?何?……何か変な事言った…っけ??



私の言葉に、何故か宗太と龍雅が答えにくそうにしている。



………なんで?