「キャー!!可愛い〜!!」
「はいはい、行くよ?」
大はしゃぎする美春の手を取り、中に入った。
カウンターを横切って、テーブル席が目に入らないようにグイグイと引っ張り、少し細い両側が壁で囲われた廊下を歩いて部屋に入った。
「…え?席…はこっちじゃないの…?」
「ん?こっちだよ」
戸惑う美春を引っ張りながら、お店が用意してくれた控え室へと連れ込んだ。
当たりをキョロキョロする美春は、どう言う事?ここは何?と言ったように、クリクリの目をまん丸にして見回している。
「え?え?みんなは…?なになに?さっぱり意味が分かんない……」
ポカンとする美春に、私は持ってきていた大きな荷物を手渡し、美春を見つめた。
「とりあえず、コレに着替えて?手伝うから」
「へっ?着替え??仮装でもするの??」
部屋には、大きな姿見と、三面鏡、小さめの脚の長いテーブルと椅子が三脚しかなく、ガランとしている。
大きな出窓からは、さんさんと差し込む陽射しに、飾られた花たちが溢れんばかりに咲き誇っていた。
戸惑いながらも受け取り、袋の中をのぞき込んだ美春は、さっぱり意味が分からないというように首を傾げている。
「何コレ?白い…もこもこ…?」
「いいから、着替えよう?」
躊躇しながらも頷いた美春は、苦戦しながらも袋の中身を取り出し、半分程出た所で動きを止めた。
……どうしよう。セリフ考えてなかった。
「……………」
動きを止めたまま、言葉を発しない美春に、どんどん嫌な感覚が胸に広がる。
胸がバクバクと加速し、冷や汗が全身から噴き出すようだ。
「み……美春…?」
「……………」
え!?ちょっと…どうしましょ。