「――……リハビリ…?」


「そ、リハビリ」



リハビリは終了…―――?



「どっかで、俺の事本気になんねーかな〜…なんて思ってたけどな」


「え?ちょ、待って私っ…」



言いかけた所で、慶兄の人差し指が私の唇に触れた。


聞いて…と言う事なんだろうか。



未だに微笑み続ける慶兄は、ゆっくりと形の良い唇を開いた。


「俺が、ももに普段から好きって言った時、ももは何て答えてた?」


「……え…?」



何て答えてた…?確かに慶兄は、二人きりの時、よく私を抱き締めながら好きだよって言ってくれた。


そのたびに私は、罪悪感からか申し訳なさからか、胸が押しつぶされそうに痛んだのだったんだ。


何も答える事ができず、ただじっと慶兄を見つめた。


慶兄は優しく笑いかけてくれているのに、胸が痛い。



「“うん”だったんだ」


「…………」



慶兄の手は、そのまま優しく私の頬を包み込むように、優しく頬に手を添えた。



胸が締め付けられる。目の奥が熱い。体が小刻みに震えてくる。



ダメ。もう何も言わないで。


そんな風に笑いかけないで。


何でそんなに、優しく笑えるの?


何でそんなに………悲しそうに笑うの……?



「ももが胸を痛める事はない。無理に付き合ってもらったのは俺のわがままだ」