――……別…れ……?




目の前が、一気にクリアになった。


全身の血液が物凄い勢いで全身を巡り、頭に集まってくるようで痺れるようだ。



……今…なんて……?



何も言えない私に向かって、慶兄がようやく笑って見せる。



「すっげー顔」



え…?待って、意味が分かんない。



「なあ、もも?」


「…………」



優しく私の名前を呼ぶ慶兄は、今何て言った……?



「ありがとう。俺は幸せ者だったな〜」


「まっ…待って…なに……」



慶兄の言っている意味が分からない。


自分が言いたい言葉も、聞きたい言葉も出てこない。



「俺は、ももが好きだって言ったよな?」


「え?」



優しく言葉を続ける慶兄が、ぶれて見える。



あぁ、きっと私が動揺してるからだ。視線が泳いでる。



「それは、今までも、これからも。何ら変わりない」


「……分かんない…」



何か言いたいのに。聞きたいのに。


私は何でいつも、肝心な時に何も言えないのだろう。


「るぅが好きなももが好きなんだ。好きなんだろう?」


「……慶…に…」


「知ってたよ。バレバレ〜」



ふざけたように言う慶兄に、もう返す言葉も見つからない。




「リハビリは終了ー。な」