差してあるストローをクルクルと意味もなく回し、一口含んだ。


よく冷えたアイスコーヒーの香りが、鼻に抜け、気持ちが落ち着くようだ。


グラスと氷がカランと音を立てる姿は、何だかとても涼しげだ。


「もも」


「……はぃ」



ゆっくりと視線を上げると、片手で肘をついて顎に手をついた慶兄が目に入る。


その表情は、やっぱりいつものようにどこまでも優しい。


口元に軽く笑みを浮かべ、目を細めた慶兄は、そんな表情一つで簡単に私をドキドキさせてしまう。


でもそれは、付き合っていると言う関係だから………――?



私は……私って…………。



「今日は、……」


「………?」



口を開いたと思った途端、慶兄の言葉は続かなかった。


不思議に思いながらも、慶兄の言葉を待った。



「……どうしたの…?」



私の言葉にも反応はなく、慶兄の表情から笑顔が消えていた。



――…なに……?



目の前の慶兄は、何だか難しいような、何か考えているような、そして何故か何だか切なくなるような表情で視線を下げてしまったままだ。



「え……ねえ?慶兄…?」



覗き込んでみるが、視線が交わる筈もない。




不安が胸を埋めていく。


モヤモヤと何とも言えない嫌な感覚が、全身の神経をおかしくしてしまうようだ。



逃げ出したくなる感覚に、思わず膝の上で手を握り締めた。






















「……別れよう?…もも」