この気持ちは、どこから来たのだろう。


慶兄に対する罪悪感さえ、慶兄を傷付けるモノだろう。



瑠衣斗に対する気持ちは、消してしまいたいのに消える事もない。



何も言えないで過ぎてゆく。


私はこのままでいいの?



口を開ければ偽りの言葉だらけで、自分を守っているだけなのではないのだろうか。




結局、自分が傷つきたくないだけ。



そんな自分が最低で最悪で大っ嫌い。


悪循環するように、そんな事を自問自答し、繰り返す。




季節は待ってくれず、下手すれば私を置いて通り過ぎてしまう。


こんな気持ち、グシャグシャにしてどっかに捨てちゃいたいよ……。




私の心を映し出したような空の色は、濃い灰色で泣いているよう。



ふざけた龍雅が瑠衣斗の頭をタオルでかき混ぜるが、いつものように瑠衣斗がやり返したり抵抗する様子もない。



まるで疲れ切ってしまったように、されるがままになっている。



どうしたんだろう。何で何も言わないのだろう。



私に負けず劣らずないくらいに、瑠衣斗が負けず嫌いで頑固な性格は昔から知っている。



でも、こんな瑠衣斗は珍しい。


きっと、周りをよく見ている龍雅にはお見通しだったのだろう。


そして、きっと宗太も気付いている。慶兄も………。



何も言えない。何もできない。



この空が明るく晴れるのは、いつだろう。


青々とした夏のように熱い空色はもう近いのに、私の心の空模様はずっと昔から曇り空のままだ。



この雨が止んだ頃、季節は夏に変わっている。


心の空が晴れないままに。