正直驚いた、フリアが素直にあたしの言ったことに従っているなんて・・・・

しかも理由を聞いたら



(あんな、切ない顔をされたらあわせずにはいられないでしょう・・・)



といわれた。

それも今まで聞いてきた中で一番元気のない声で。

こんな展開になると高まってくるのはやっぱり不安で


―もしかしたらあの人は、もうこの世にいないとか・・・・


最悪の展開ばかり浮かんでくる。

カツカツ

コツコツ

長い大理石の廊下にあたしとフリアの足音が響く

カツカツ

コツコツ

カツカツ

コツコツ

早まっていく足音、高まっていく不安

カツカツ

コツコツ

カツカツ

コツコツ

カツン


ひとつの扉の前でフリアが立ち止まる。

きっとこの扉の向こう側にあの人がいるのだろう。

そう七年前にあったあの人が・・・


「この中にいるわ」


フリアが静かにそう告げる。


あたしは意を決してドアノブに手をかける。

そしてゆっくりとドアノブをまわす。

カチャ

あたしとフリアはドアを押して部屋の中に入っていく。