入学当時から毎日一緒に通っていた道のりをバラバラに通うようになったのは、ちょうど、コウくんがサッカー部を退部した頃からだった。


その頃から、コウくんは変わった。


私の前で、笑わなくなった。


優しい、温かい笑みを、私に向けてくれることがなくなった。


私が話し掛けても、楽しそうに話すことはなかった。


顔をしかめて冷たくあしらうだけ。


そんな変化に、私はすぐに気付いた。


何度も何度も問いただした。


“どうしたの?”

“何かあった?”


しつこいくらい、何度も聞いた。


でも、彼は一向に真実を語ろうとはしなかった。


それどころか、心配する私に、彼は毎日繰り返したんだ。


“ウザい”


たった3文字のその言葉を。