「何…これ……」


コウくんのキレイな字がびっしりと並んでいる。


その懐かしい字に、言葉に、涙が次々に溢れだしてきた。






「あなたのことばっかりなのよね、晃太くん。
私と話してるときもね?いつもあなたの話してるの。幸せそうに笑うんだもの。叶いっこないわ。」


呆れたようにそう言う荒木さんの目には、涙が溜まっていた。


「荒木さん…?」


「晃太くんは…。あなたのこと、命が尽きるまで愛し続けたの!!だから…。だから、そんなみっともない生き方しないでよ!!晃太くんに恥じないような、カッコイイ生き方しなさいよ!!!」


そう言った彼女の目から、涙がボロボロと溢れだした。


唖然としている私の横を、小学生が走り抜けた。


その拍子に落としてしまったコウくんの手帳。


その端から、何かがはみ出しているのに気づいて、私はそれを拾いあげた。


小さく折り畳まれたそれをそっと開くと、そこには二人の幼稚園児が手を繋いで仲良さげにしている姿が写されている。


その裏側に書かれた、少し滲んだ下手くそな字。


それは――…