「あたし」 近藤美澄は普通の30才の女。
2つ年上の夫と、10才の子供を持つ主婦だ。


不満といえば、狭い社宅住まいな事くらい。

家賃も安いし、申し分ないんだけど…
息がつまる。


主人に落ち度はない。
真面目に働き、毎月の給料を「あたし」がやりくりすればいいのだ。

いつからだろう。
こんな生活から逃げ出したい様な焦燥にかられだしたのは…

幸せそうに見えるんだろうな。
でもちっとも幸せじゃない。

このまま この人と一生暮らして「あたし」は年をとっていくの?

嫌だ。でもそんな勝手な事を考えちゃいけない!
「アタシ」が顔をのぞかせると「あたし」が ダメっと「アタシ」に言い聞かせる。

ある日を境に、完全に「アタシ」が全面的に「あたし」を支配する様になっていったのだ…。