あたしは、泣き腫らした目で家に帰った。

リビングでゲームをしている弟に、
「なぁ、学校ちゃんと行ってる?」

「行ってるけど、なんで?」

「今日もらったプリント見せてや」

「学校に置いてきた」
「じゃあ、昨日のは?」

「…」

無言でゲームを続ける弟の横顔で全てを悟った。

おばちゃんの言ってた事は、ほんまやったんや…


あたしは、お父さんのためではなく、弟のためだけに、母親の役目もこなしているつもりやった…

唯一あたしの心の支えやった弟…
だから、あたしは今日まで、どんなにしんどくてもやってこれた…
それやのに…

弟はあたしにウソをつき続けてたんや…

悔しい!

思わず手が出ていた。

何も考えずに、わめきながら弟を叩き続けた。
叩いて叩いて、疲れ果てて座り込んだあたしは、放心状態のまま、弟の顔を見た…

何も言わずにただ冷たい目でにらみ返してくる弟に、あたしは殺意さえ感じてしまった。


その日を境にあたしは変わっていった…