泣き疲れて、少しうとうとしていた時
ピッチが鳴った。

着信画面には、ゆうき君の番号

初めての着信。
でも…
取りたくなかった…

こんな泣いた後ってわかるような鼻声、弱ってるあたし…

初めて声を聞くのに、楽しく話なんかできる状態じゃないよ…

あたしは着信を無視した。

何度も鳴る電話。

その音すらうざくなったあたしは、通話ボタンを押して、すぐに切った。

それでもあきらめないゆうき君…

だんだんイライラしてきた。

あたしは今楽しく話せるような状態じゃないねん!!

それでも鳴り続ける電話に、ついにあたしもキレた。

電話に出て、言ってやる!
しつこい!って言ってやる!

「もしもし!?」

『よかった…何回もしつこく鳴らしてごめんな…』

その声は、本当に心配していたみたいで、それでいてとても…とても温かい声だった。
優しい、全てを包んでくれるような…
まるで、日だまりの中にいるような…

自然と涙があふれて、子供みたいに泣きじゃくった。

受話器の向こうでは、『ゆみ?どうした?』
『何かあったん?』

女の子が泣いてるのに、落ち着いた声で問い掛けるゆうき君。

あたしは、自分でも何を言ってるのかわからない事を泣きながら話した。

洪水のように、次から次に流れ出ていくあたしの気持ち。

きちんと言葉になっていなかったかもしれない。

ゆうき君は、あたしの話をずっと聞き続けてくれた。

優しい声で相づちをうちながら。